2016-03-19 16.32.10

「私はサーフィンをしなくて見ているだけだけれど、見るのは好き。

ずっと見ていると少しわかってくる。今日の午後、どんな波が来るのか、ある程度予測はつくんだよね。うんと慣れてくると。

でもそこが人というものの弱いところで、サーフィンをする生活が数年続いてルーチンになってくると、いつかの天候、そのときの波と比べるようになってしまうし、波のことがわかったような気になってきてしまうみたい。

それでケガして、また反省して、またケガして、を繰り返す人はとても多いよ。同じところをぐるぐる回ってるのには気づかないの。

実は違うと思うんだ……。

 毎回違う波だという風に思えることのほうが、似た波を分類するよりも大事なの。

天気の分析は欠かせないものだし、するべきなんだけれど、同じような天気と波があると思ってしまうのはとても傲慢ことで、同じようなものがあるとしたら、それは自分の内側のほうであって、世界のほうではないの。

これって自然はすごいっていう話じゃないよ、全然。

自然以外も、全てのことがほんとうはそういうふうに毎回少しずつ違っているのに、広すぎて怖いから、人間はいつでも固定させて、安心しようとするの。知ってることの中に。」

私は言った。

「私には、その話の意味が、たぶんわかっていると思う。」

よしもとばなな-チエちゃんと私-より